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日本における矯正歯科の資格と認定医制度について

 日本では矯正歯科の教育は戦前から行われていましたが、現在のような形で医療として普及するようになったのは戦後、マルチブラケット法といわれる、歯の表に金具を着けワイヤーを通す方法が普及してからのことです。この方法が広まり始めた30年ほど前は、矯正歯科の教育機関も少なく専門医も数えるほどしかいませんでしたが、戦後の経済発展にともない矯正歯科の需要の高まりとともに"自称"矯正歯科専門医が雨後の竹の子のように増え矯正歯科治療の質に対して良識ある専門医間で危惧される状況となりました。

 そこで、日本矯正歯科学会が、矯正歯科医の技術と経験を認定し、資格証を発行することにして、これを基に広く国民に医療機関を選ぶための基準を提供しようとしているのが、認定医の制度です。矯正歯科の認定医制度は、日本のその他の専門医制度に比べてもその基準が厳しく、高い技術と経験が要求されています。

 矯正歯科の認定医には技術と経験のグレードにより2種類の資格があります。 まず日本矯正歯科学会認定医となるには、

a. 5年以上日本矯正歯科学会の会員であること
b. 2年以上大学の矯正歯科で研修医をした後、学会指導医の下でさらに3年以上矯正歯科に専門的に従事すること
c. 学会誌にオリジナル論文を発表すること
d. 学会の定める試験に合格すること

が最低限必要になります。以上の点をすべて満たすと、学会認定医として認定医証が交付され、公式に矯正専門医として自分の判断で活動することができるようになります。さらに、学会では、矯正専門医をめざす研修医を指導監督する特別 の教官資格として、日本矯正歯科学会指導医という制度を敷いています。指導医になるには、

a. 13年以上日本矯正歯科学会の会員であること
b. 認定医資格を取得してから、大学の矯正歯科において教育指導歴が3年以上あること
c. 学会の定める試験に合格すること

が必要となります。従って指導医は専門医の中の専門医といえます。

 現在、全国には約3000人の認定医と、約500人の指導医が各地で活躍していますが、矯正歯科と看板に書いてあっても矯正歯科の専門医の資格がある医療機関とは限りません。というのは、現在の日本の法律では、歯科医師である限り法律上はどの専門分野の治療をしても良いことになっているからです。しかし、眼科の先生が胃の手術をしたりしないように矯正歯科の分野は矯正歯科の専門医が担当するのが当たり前のことなのです。逆に、矯正歯科の専門医は、虫歯や、入れ歯の修行はしていないのでこういう治療は自分ではしないのです。
 担当医が専門医かどうかわからないときにははっきり学会認定の専門医であるかどうか尋ねてみても良いでしょう。認定医であれば、認定医証を見せてくれるでしょうし、学会の名簿にも資格の有無が記載されていますのでそれを見せてくれるでしょう。(矯正歯科専門の開業医院であれば、たいてい待合室に認定医証か指導医証が掲示してあります)いずれにしても、安心して矯正歯科治療を受けるには指導医レベルが望ましいのですが、最低限学会認定医の治療を受けましょう。一度受けた治療は元に戻すことができないのですから。

 

(※歯科医師の技量にも個人差があります。絶対的な指標ではないことをご了承ください。 )

日本矯正歯科学会の専門医制度について

 上記のとおり、日本矯正歯科学会によって、従来”認定医”と”指導医”という二種類の資格を認定していましたが、2006年より新たに“専門医”という資格認定を始められました。

この新しい“専門医”になるためには、

1.認定医資格を取得後、2回以上更新試験に合格していること。
2.最近10年以内に矯正臨床に関する論文、著書または学会発表があること。
3.学会の指定した10種類の治療例を提示して最低基準をクリアすること。
4.口頭試問に合格すること。

が必要です。従来の二種類の資格になぜ“専門医”が追加されているかという理由ですが、認定医というのはあくまでも矯正学に関して最低限の学識と経験を有することを認定したもので、矯正歯科医になったばかりの認定医とベテランの認定医とでは内容的に大きな違いがあるのが現実でした。
 ところが、“指導医”というのは大学に相当長く在籍して、教育と研究歴を積まないとなれない資格なので、認定医を取得後すぐに開業して実地で経験を積みながら腕を磨いた先生は、事実上取れない資格になっています。また、指導医は教育と研究歴を重視している資格であるため、必ずしもそれが治療実績とリンクしていないと言う声もありました。教師よりも勉強の出来る学生、監督よりも能力がある選手というのはどこの世界でも見られるように、矯正科の世界でも指導医よりも治療実績がある認定医は多数いるのですが、それが今までは“認定医”というカテゴリーですべてくくられてしまい、違いが一般の人には分からなかったというわけです。
 このような背景から、より治療実績を重視したカテゴリーを新たに作って、広く国民に情報をより細かく提供しようと言うのが“日本矯正歯科学会専門医”の制度です。では実際には、患者として矯正歯科医院を選ぶ基準としてどのような認識を持てばいいかという事についてですが、やはり認定医は重要な目安と考えられます。もちろん日本矯正歯科学会の認定とは全く別の形で修行を積んで立派な矯正治療をされている先生もいらっしゃるとは思いますが、少なくとも認定医であれば矯正を専門に最低5年は勉強したことは明らかですので、より安心感があるという意味においては重要です。あとはさらに上のグレードの目安を求めるのであれば、指導医か専門医を持っている先生が良いでしょう。
  一方で、専門医の制度は始まったばかりで、専門医の申請をしていない優秀な先生方も多数います。全国の大学の教授、助教授の中には専門医資格を申請すれば当然合格する実績がありながら、まだ申請していないという先生がたくさんおられるようです。
 以上のように、専門医資格の登場によって、より現実に即したカタチで患者さんが先生を選ぶことができるようになっていくとは思いますが、絶対条件あるいは必須条件ということではありません。現状では「専門医」を持っている先生は目安として、実力、経験、学識共に形式上は最上の資格です。ただし実際には、人間性、相性、料金、通いやすさ、実際の評判など様々な要素を総合して医院選びをすることになりますから、資格はやはり単なる目安に過ぎないことを認識しておきましょう。カタログでの商品選びのように判断すると、あとで後悔する可能性もありますので、実際のご自分の価値観、感性で選択するのが重要でしょう。スマイルゲットはあくまでも患者様が医院をお選びになるサポートをさせていただきますが、最終的には患者様が“自己責任”においてご判断されるのだということを忘れずにいましょう。

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