出っ歯が気になるとのことで矯正歯科を訪れました。17歳、高校生。顔の正面を見ると唇が少しめくれあがって、本人は意識していないのですが"ムッ"とふくれているような印象を与えています。横から見るとやはり上唇が出ています。歯を見ると配列の乱れはそれほどありませんが、上の歯がだいぶ外側に反り返っているのがわかります。 検査診断の結果、上顎前歯の傾斜が大きい典型的な上顎前突で、多少叢生の傾向もあるケースと判断。上顎前歯を内側に入れ同時に配列の修正もするため、上下左右の小臼歯を一本ずつ減らしたうえで、マルチブラケット法にて矯正することにしました。
マルチブラケット法を開始したところです。セラミック製ブラケットのワイヤーが通る部分を金属で補強した最新型高性能ブラケットを使用しています。ワイヤーが通る溝は、ワイヤーの素材に対して硬すぎても柔らかすぎても摩擦力が大きくなり、歯の動きを悪くします。待ちに待った最新ブラケットを早速採用。細い形状記憶合金で、優しく緩やかに、大体の歯列の外形を整える段階です。
大体の歯列の外形が整ったところで、犬歯の後方移動を開始します。これは次の段階で前歯を内側に入れやすくするために、その障害となる犬歯をあらかじめ後ろにどかしておくための処置です。0.5mm程度のステンレススチール製ワイヤーを通して、歯をていねいにゆっくりとスライドさせていきます。
犬歯を後ろにずらし終わったところで、いよいよ前歯4本を内側に入れていきます。0.5mm以上の太いワイヤーに歯を動かすためのいろいろな曲げこみをして、ワイヤーを引き絞っていきます。曲げこみするループの角度や形態が歯の移動に重大な影響を及ぼします。この段階が無理なく行えるかどうかが、出っ歯の治療の成否を決めます。この辺が専門医としての腕の見せ所でしょう。
マルチブラケット開始後1年11ヶ月で、歯を動かす治療を終了しました。ケース内容を考えると、2年以内で終了させるのは驚異的!上の前歯の傾きが初診時とは全然違いまっすぐ立っています。もちろん配列もきれいになり噛み合わせも完璧です。 口元も引き締まり、本来の彼女の美しさを取り戻すことができました。本人も家族も大満足。キュートな笑顔が学校でも人気の的だそうですよ。